当時「マルチサイト」と呼ばれた、二人の主人公のシナリオを別々に進めていき、やがて一つに収束していくというシステムが採用されています。
序盤は片方を進めているともう片方の内容を忘れてしまったり大変なのですが、中盤以降に相互干渉が始まると、俄然面白くなってきます。
特に「ハッキング」の場面は秀逸です。
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SS版 オープニングムービー
この作品の大きな魅力は、二人の主人公がそれぞれ非常に魅力的な点でしょう。
二人とも20代半ばあたりに設定されていて、いろんな意味でアダルトな雰囲気です。
主役以外の脇役も、皆キャラクターが立っていて魅力にあふれています。
PCアダルトゲームからの移植ですが、家庭用向けにかなりソフトな表現に改められています。
ただし「パンチラ」は多めですけどね。
SS版 TVCM
これはちょっと現在ではTVでは流せないのではないでしょうか?
結構グロい映像ですのでご注意ください。
PS2版 オープニングムービー
PS2にも移植されています、大容量のDVDになって煩雑だったCDの入れ替えが無くなり操作性は大幅に向上しました。
しかしキャラクターデザインが変わってしまい、正直魅力はかなり薄れたように思います。
SS版には残っていたアダルトな表現も無くなっています、キャラクターも含め女性向けの改訂と言えるのかもしれませんね。
この作品、セガサターンマガジンの読者レースの最終オッズで第1位となるほどの支持を受けました。
(ちなみに2位は「グランディア」、「この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO」は4位)
やはり巧みな人物描写と「衝撃のラスト」が、大きく支持された理由でしょうね。
「YU-NO」とは甲乙付けがたい魅力がありますが、古風な「総当り」システムを採用しているだけに、時間をかければ攻略本無しでもクリア可能というのは良いですね。
(「YU-NO」はかなり高難易度で、自力クリアはかなり難しいです。)
ちなみに、剣乃氏が関わっていない続編「EVE The Lost One」は地雷として有名ですが、内容の薄さや荒唐無稽すぎるトリックもさることながら「EVE burst error」のラストに関するネタばれが含まれていますので、安いからといって先にプレイしないようご注意ください。



この作品はエルフのPC98向け最後の作品としてリリースされた後、セガサターン向けに18歳以上推奨枠で移植されました。
当時はサターンの「ギャルゲーハード化」に義憤を感じていましたし、値段も高かったのでスルーしていましたが、最近になって剣乃三部作を順番にプレイしてみたところ、その人物描写の巧みさや台詞回しの上手さ、やや強引ながら結末の読めない展開に唸らされました。
特にこの「YU-NO」は、やはりずば抜けた完成度だと思います。
(衝撃のラストの「EVEバーストエラー」も捨てがたいですが・・・。)
いくつか動画を見つけましたので紹介します。
この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO | |
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サターン版オープニング
最初は「何故ストーリーと全く関係無いムービーなんだろう?」と思ったものですが、後になって非常に重要な意味を持っていたことがわかります。
全てを理解したあとに観ると感慨深いものがありますね。
サターン版プレイ動画
これはイントロ部分ですね。
当時としては珍しい主人公の音声付でしたが、違和感無くプレイできました。
当時のサターンの18推枠はグラフィック以外の規制が緩く、「○○○さえ画面に出なければOK」という感じでしたので、会話内容が凄い事になっていますね。
これによってかなり人を選ぶ作品になってしまっています。
これを勿体無いと考える人もいるようですが、私はそれを含めての魅力だと思っています。
TVCM
こんなものもあったんですねえ。
「完全18歳以上推奨」とはまさにその通りです、なにせ「Hシーン」で本当にHをする(しかも殆どのヒロインと)作品ですからね。
それはそれで受け流しつつ物語をしっかりと追うには、やはりそれなりの人生経験が必要でしょうからね。
PC98版オープニング
PC版は未プレイです。
音楽はかなりチープで動画も使えないようですが、限られたスペックで少しでも良い物を作りたいという気持ちは伝わってきますね。
もう一つの代表作「EVEバーストエラー」は、菅野氏が全く関与しない形でリメイクされたり、システムを流用した続編が作られたりしていますが、「YU-NO」は発売元が大手のエルフのためか、全くリメイクされる気配がありません。
それだけになおのこと「幻の名作」扱いになってしまっているようです。
実際、適度な難易度でパズル要素もある独自のシステム「A.D.M.S(アダムス)」は非常に秀逸で、このまま消えてしまうのは実に惜しい作品だと思います。



鬼才「遠藤正二朗」氏の代表作として、一部で有名な作品ですね。
遠藤正二朗 Web site よみもの専科
マリカ?真実の世界? | |
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結論から先に言いますと、全く期待を裏切らない凄い作品でした。
まだサターンをお持ちの方には、ぜひ一度プレイしていただきたい作品ですね。
女の子が3人揃っているジャケットイラスト、しかも「18推」ですからいわゆる「ギャルゲー」のように見えますが、そうではありません。(広い意味ではそうかもしれませんが・・・。)
「18推」はHやお色気方面での規制ではなく、残虐方面や重いテーマそのものへの規制のように思えます。
ある程度精神的に成熟したユーザーでないと、精神的にかなりキツイものがあるか、もしくは理解不能なのではないでしょうか?
グラフィックはかなり独特なアクの強い絵柄です。
このアクの強さによって、主役級のキャラクターが異様に立っています。
特にマップ画面がヘボいと良く言われますが、個人的にはそんなに気になりませんでした。
というのも、街にごみ袋が置いてあったり、信号が機能していて横断歩道で待たせられたり、妙に生々しいんですよね。
見た目は決して良くないけれど、こういう「リアル」もありかなあ?と思わされました。
(当時話題となっていた「ブルセラショップ」なんてのも出てきますよ。)
システムはテキスト無しのフルボイスで、一度イベントが始まると自動的にどんどん話が進んでしまいますので、特に音声には集中していなくてはならず、これはちょっと不親切に感じました。
会話を聴覚のみで追うのですが、なぜか物凄く眠気に襲われるんですよね。
決してつまらないわけではなく、むしろ非常に面白いのに眠くなるのには参りました・・・。
物語の大筋を説明すると、謎の秘密結社が日本を滅ぼす為に超能力者や改造人間を使ってテロを目論むのだが、ひょんなことから超能力に目覚めた主人公「神崎まりか」を始めとする3人の少女が、彼らの計画を阻止すべくサイキックバトルを繰り広げるというものです。
序盤の展開は何となく「仮面ライダー」あたりの特撮ヒーローものを暗めにアレンジしたパロディのように思えるのですが、中盤あたりで主人公の身の回りの人物が事件に巻き込まれ始めると、とても「パロディ」なんて言ってられなくなります。
その頃には完全に主役の3人に感情移入させられてしまいますね。
この作品、本当にたくさんの人が死にます。ラストも本当に救いようの無い展開で、胸が締め付けられます。
そういう展開も「18推」となった理由の一つなのでしょうね。
「リストラ」「ホームレス」なんていう、10年前から続いている日本経済の暗部も描かれており、いろんな意味で救いようの無いキツイ作品です。
ですが、そのあたりがこの作品に「作家性」を吹き込み、独特の味わいを生み出している理由なのでしょう。
この作品以降ゲーム制作の第一線から退いていた「遠藤正二朗」氏ですが、今年になってPC向け作品「セツの火」をリリースし、ゲーム制作の第一線に復帰されました。
グラフィックのアクの強さや人外のものとの戦いなど、かなり「マリカ」に近い雰囲気を持つ作品のように思えます。
セツの火 公式サイト(無料体験版のダウンロード有り)
制作は「ワイルドアームズ」でおなじみのメディアビジョンです。
ダウンロード専売で3800円と、かなり高価なのが気になります。
やはり形の残るメディアで販売していただけるとありがたいですよね、できればPS2かWiiあたりに移植されると嬉しいのですが・・・。



CD3枚に分かれていてそれぞれが独立した作品として成立しており、シナリオ1?3はそれぞれ別々に販売されました。
全部定価で買うとしたら15000円を超えてしまいます、かなり高かったですね。
3つの作品に付いていた応募券を送ると、「プレミアムディスク」が貰えました。
(最終シナリオはこれに収められていたため、おまけディスクにもかかわらずかなりの高値で取引されています。)
それぞれのシナリオで得た経験値や仲間が別のシナリオに影響を与えるという、当時流行りだった「ザッピング」の概念が取り入れられています。
この3つの作品を一通りまともにプレイすると200時間くらいかかります、まさに超大作でした。
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制作は「ソニック」です、といってもいわゆる「ソニックチーム」とは全く別物で、「キャメロット」(初代みんなのゴルフの制作会社)の別名称です。
ドラクエの制作に参加していたことで有名な「高橋兄弟」の会社ですね。
プロモーションムービー
街は3Dで表現されていて、戦闘シーンもポリゴンで表現されていました。
サターンのRPG系の作品としては「グランディア」と並んで最高の技術が投入された作品と言えるでしょう。
結局実現しなかった「サターン版ドラクエ」がもし世に出ていたら、おそらくこのような感じのグラフィックだったのではないかと思います。
オープニングムービー(3作とも収録されています)
オープニングムービーもかなり美麗で、サターンの作品としては最高レベルでしょう。
大作の雰囲気は十分に感じられ、期待感が高まったものです。
シミュレーションRPGなのですが、街の中をかなり自由に探索できますし、戦闘のグラフィックもかなり派手ですので、普通のRPGと変わらない感覚でプレイ可能です。
チュートリアルも親切で、シミュレーションRPGとしてはかなり敷居の低い部類に入ると思います。
だからといってコアユーザーが満足できないわけではありません。意外なキャラクターが仲間になるなど隠し要素が多いですし、なによりボリュームが凄いですからね。
簡単だけど奥が深い、まさに良作と言えるでしょうね。
何故この作品を紹介する気になったかと言いますと、PSPへ移植されるとの噂があるからです。
「サクラ大戦」や「プリンセスクラウン」などサターンの名作が移植される機会の多いPSPですが、この作品が移植されるのは大歓迎でしょう。
UMDの容量であれば、「プレミアムディスク」を含めた全てのシナリオを収録する事が可能です。
どこでもセーブが出来るようにすれば、電車の中などでちまちま進める事も可能でしょう。
それになにより、海外のユーザーにとっては朗報でしょう。サターン自体が普及しなかっただけでなく、海外では「シナリオ1」しか発売されていないのです。
全てのシナリオを一通りプレイしても謎が多く残るのに、「シナリオ1」だけでは消化不良どころの話ではないでしょうからね・・・。
無事に発売されてサターン版のプレミア価格が少しでも下がってくれればありがたいのですが、「プリンセスクラウン」を見るかぎりあまり相場の変動は無いんですよね。
やはり「据え置き機」と「携帯機」では市場が違うということなのでしょうか?



ジャンルは「横スクロールアクション」ですね、「悪魔城ドラキュラ」に似た感じです。
これは「印」で敵をロックオンして連打して倒すんですね。何となく「FPS」っぽい感じの操作感覚なのではないでしょうか?
(画面から受ける印象は全く別物ですが。)
背景が実は3Dポリゴンで描かれているところが、いかにも「サターン」という感じですね。
ちょっと気色悪すぎる感じですが、これが他に無い味となって好きな方にはたまらないのでしょうね。
難易度は比較的易しいとのことですので、運良く手に入れる機会があれば是非プレイしてみてください。
現行ハードでは、ここまでの「職人技のドット絵」の作品がリリースされることは考えにくく、結局オンリーワンの作品として残りつづけていくのでしょう。
その辺の事情は「プリンセスクラウン」なんかと良く似ていますね。
2Dアクションゲームの流れを正統に受け継いでいたハードだった「サターン」には、この手の「究極の2D作品」が結構ありますよね。
開発元は、メガドライブの有力サードだった「テンゲン」を受け継いだ「タイムワーナーインタラクティブ」です。何とアメリカに本拠の有る会社だったんですね。
結局日本法人は撤退することになり、この「心霊呪殺師太郎丸」は最後の作品との事です。再販が望めないという点もプレミア化の要因となっているのでしょう。
ちなみに、先日紹介した「レイディアント・シルバーガン」も、当初はこの「タイムワーナーインタラクティブ」が制作していて、それを「トレジャー」が受け継いだものなのだそうです。
作品から感じられる「熱いオーラ」には、訳があったんですね・・・。



(他には「心霊呪殺師太郎丸」など)
実はこの作品未プレイなのですが、あまりに印象が強烈でした。これはプレミア化しても仕方無い・・・。
オープニングアニメ
プレイ動画
エンディングアニメ
いや何というか、当時としても十分臭いアニメによる演出は、まさに「セガハード」というか「トレジャー節」というか・・・。
パッケージが超硬派なだけに、実際のゲームとのギャップに驚きました。
ゲーム本編も、当時既に主流となっていた「弾幕シューティング」とは一線を画す「パターン化シューティング(?)」と呼ぶべきもので、当時人気絶頂だった「ビートマニア」と比較されたりしていましたが、結局「シューティング」だし「サターン」だし・・・という事で当時は埋もれてしまったんですよね・・・。
2Dに強くポリゴンも使えた「サターン」の能力全開の素晴らしい出来で、しかも他に無い独創的なゲーム性なのですから、これはプレミア化しても仕方無い感じですね。
愛すべき独特の癖(セガ臭?)もありますし、音楽のレベルも非常に高いです(「崎元仁」氏の作品とのこと)。
シューティングが苦手な自分も、是非一度プレイしたいと思える作品です。


